小林裕美子が建築家としての
  経験から、皆様のお役に立て
  ばとお伝えするエッセイです。

  別項を読む

  NO.1 はじめに
  NO.2 家のコンセプトを明確に
  NO.3 人生に必要なものの厳選
  NO.4 プラン作りT
  NO.6 家事楽・住楽T
  NO.7 家事楽・住楽U
  NO.8 家事楽・住楽V
  NO.9 災害の時に備えてT
  NO.10 災害の時に備えてU
  NO.11 災害の時に備えてV
  NO.12 家は環境で決まる
  NO.13 風景になる家を作る
  NO.14 新築かリニューアルかT
  NO.15 新築かリニューアルかU
  NO.16 改装時の注意
  NO.17 ああ DO IT MYSELF!
  NO.18 セカンドハウスの薦め
  NO.19 セカンドハウスの注意点
  NO.20 これからの二所帯住宅
  NO.21 個性的な家をつくろう!

                  
  ■基本的な家のプラン

  プラン作りU「もしもの時に備えて」

  今回はちょっと現実的な話をしましょう。
  私達が50〜60歳と年齢を重ねて行くと、思わぬ病気や事故に遭遇する確率が
  圧倒的に増えて来ます。こうした事が起ってからそれに対処出来る様に家を
  改修するのでは、肝心な時に間に合いません。
  「50歳からの家」はそうした「もしも」を想定して計画しなければいけません。

  60代の知人は足を骨折して松葉杖歩行になり、急な階段を2階まで昇れずに、
  1階だけでの生活を余儀無くされました。幸い彼の家はバス、トイレ、寝室が1階
  だったので何とか生活出来ましたが、バスもトイレも狭くて段差もありました。
  小柄な奥様は、体の大きな御主人を支えるのにとても苦労しました。
  この様な「もしも」の場合に備えては、平面的な移動だけで生活が出来る様に
  考えましょう。平屋建ての家なら理想的ですが、敷地その他の条件で中々難し
  い場合もあります。それでも必要最低限の機能が1階に揃っている事が重要です。
  知人の家の様に、バス、トイレと寝室になる部屋を1階に用意するだけでなく、
  バス、トイレ、廊下の広さも重要です。私自身もギブスで真直ぐに伸びた足が
  トイレ室内に入り切らず、ドアを開けた状態でトイレに入った経験があります。

  そんな事も考慮すると、どうせならば車椅子も使える広さであるとか、ヨーロッパ
  の様に洗面所内にトイレがある使い勝手にすれば、「もしも」の起きていない普段
  の生活でもゆったりしたスペースで暮らせて快適でしょう。
  上階のある家では、階段の勾配や幅にも気を付けましょう。スペースが無いから
  と言って、急な狭い階段はいけません。又真直ぐな階段ではなく途中でカーブ
  させた方が、もし落ちた時に下まで一気に落ちません。
  3階建などは出来れば避けたいところですが、2〜3階への昇りはホームエレベー
  ターを設置するのも手です。今すぐエレベーターを設置しない場合でも、いつでも
  付けられる様なスペースと構造は確保しましょう。エレベーターが無い時点では、
  その場所を収納として使えばスペースの無駄になりません。
  門から玄関までのアクセスも大切です。和風の庭の飛び石等はNGです。
  出来るだけ平坦で美しいアクセスをデザインしたいものです。

  「50歳からの家」で夢を実現する為には、この様な「もしも」に備えるプランが絶対
  に必要だという事を理解して下さい。事が起こってから改修するのは、時間もお金
  も掛かります。最初からそういう事を見越して用意すれば、無駄なコストは省けます。
  何より改修出来ない構造であったり、スペースが無ければ、この夢の家に住み続け
  られない事だってあるかもしれません。
  素晴らしい第二の人生をこの家で見つける為にも「もしも」に備える「余裕」を
  プランニングしましょう。